医局の力を借りずに、自分の力で転職する方法【内科医の実例】


働きたいように働くことは意外とできる

高校生や大学生の頃、私は「自分の人生設計」をわりとしっかり考えるタイプでした。

でも、二児の母となった今の私が当時の自分に声をかけるなら、こう伝えたいです。

「案ずるより産むがやすし。」

キャリアプランを立てることは大切ですが、やりたいことや大事にしたいことは変わっていくものです。
そして、自分にとって「心地よい環境」は、意外となんとかなることが多いと思います。

 

レールの上を進んでいた頃

高校生の私は、「結婚なんてしない!仕事に生きる!」と思っていました。

しかし、大学生になると恋愛をし、結婚や出産も視野に入るようになります。

医学生の頃は、「女医のキャリアプラン」や「ロールモデル」という言葉にひかれ、講演会や勉強会に足を運びました。
その中で、「大学院生の間はベッドフリーだから、妊娠・出産に向いている」と考え、その間に2人は産みたいとプランを立てました。

そして計画通り後期研修の間に結婚し、大学院へ入学。
ここまでは順調でした。

 

思い通りにならない現実

しかし、ここから予定通りにはいきませんでした。

なかなか妊娠できなかったのです。

結局、所属していた大学病院で不妊治療を開始しました。
ようやく妊娠できた頃には、大学院卒業が迫っていました。

その後はポスドクや大学の「ママさん枠」で働きながら、2人の子どもを妊娠・出産しました。
しかし、ママさん枠は時給制で、ファーストフード店のアルバイト並みの給料でした。
外勤もしていたので生活に困るわけではなかったものの、将来についてはかなり悩みました。

大学病院は医師が多いため、誰かが急に休んでもなんとかなります。
実際、子どもの発熱で急に早退しても問題のない環境でした。

でも、それは裏を返せば「自分がいなくても回る」ということでもあります。
給料が激安だったこともあり、自己肯定感はどんどん下がっていきました。

 

転職を決意

このまま大学にいたら、子どものせいでキャリアを築けなかったと感じてしまいそうでした。

それは嫌だと思い、一念発起して脱・医局し、転職を決意しました。

医局に相談すれば関連病院のポストを紹介してもらえたのですが、どこも激務。
当直免除でも休日の日直は必須など、私にとっては厳しい条件ばかりでした。

そこで、以下の条件をもとに医師の転職エージェントに登録しました。

  • 急な休みOK(子どもの体調不良など)
  • 週4日勤務・当直なし・土日勤務なし
  • 保育園の送迎ができる勤務時間・勤務地
  • 専門分野の外来を持てる
  • そこそこの給料

 

転職してみて感じたこと

結果的に、条件に合う病院を見つけることができ、今は楽しく働いています。

そして驚いたのが、今の時代、働くママ・パパにかなり優しいということでした。

ひと世代上のママ先生が、子どもが熱を出すと「申し訳ありません!」と謝り倒していた姿をよく覚えています。
でも、コロナ禍を経てそもそも医師本人が急に熱を出して欠勤するのは普通という認識が広まりました。

見学に行った病院の多くで、「急な休みは全然問題ないですよ」と言われ、驚きました。

ただし、条件によってはどこまで妥協できるのかを考えておくことも大切です。
私はもともとの給料が安かったので、多少相場より低くても「専門分野の外来を持てる」ことを優先して決めました。

 

転職を有利に進めるために

転職を比較的スムーズに進められた理由の一つに、専門医を持っていたことがあります。

今は専門医を取るまでの年数が延びていて一概には言えませんが、医局の力を借りずに自分の力で転職したい場合、専門医は名刺代わりになるので、持っておくと強みになります。

 

不安なら「大きな組織」にいるのもアリ

医学生や初期研修中で将来が不安な場合、「とりあえず大きなところに所属する」というのも一つの安心材料になります。

私は最終的に医局を抜けましたが、不妊治療や妊娠・出産の先が見えない時期に大学病院に所属していたことは、精神的な安定につながりました。

産休や育休はもちろん権利ですが、人手が多い病院や大学からの派遣がある病院では、取得のハードルが下がるのも事実です。

 

まとめ:一歩踏み出せば、新しい世界が広がる

どんなに考えても、未来のすべてを見通すことはできません。

「このままでいいのかな?」と悩んでいるなら、まずは情報収集と見学をしてみてください。
そして、いざとなったら環境を変えてみるのも一つの選択肢です。

やってみたら、意外となんとかなるものです。

 

さくら さき                                          2012年国立大学医学部卒業 大学病院や急性期病院で勤務した後にPh.D.を取得             2児の母兼内科医として現在は奮闘中
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