リハビリ専門職が病院に就職・転職する前に押さえておきたいポイント


理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が働く職場は医療や介護分野、障害福祉、教育機関と多岐にわたります。そのなかでも、病院等の医療法関連の施設では、以下のとおり、多くのリハビリ専門職が在籍しています。
・理学療法士は約76.9%
・作業療法士は約56.5%
・言語聴覚士は約78.0%
いずれの職種も半数を超えています。
(出典:日本理学療法士「統計情報」2024年3月末、日本作業療法士協会「2019年度協会活動資料」、日本言語聴覚士協会「会員動向」2024年3月末)

では、リハビリ専門職が働く病院では、どのような特徴があるのでしょうか。
この記事を読むことで、以下の内容が分かります。
・病院におけるリハビリ専門職の法的根拠と業務内容
・リハビリ専門職が病院で働くメリット
・リハビリ専門職が病院で働くデメリット
・病院で求められるスキル

病院へ就職、もしくは転職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

1.病院におけるリハビリ専門職の法的根拠と業務内容

(1)法的根拠
医療法1条の2「医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに、その内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。」と定められています。
ここでは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が明記されていませんが、リハビリテーション医療が医療全般の一環として位置づけられていることがわかります。
医療法に加えて、「理学療法士及び作業療法士法」や「言語聴覚士法」により、リハビリ専門職の資格や業務範囲が明確に示され、患者に対して安全かつ効果的な医療サービスが提供できるように制度が整えられています。

(2)業務内容
①リハビリ専門職の業務内容は一般的に以下のとおりです。
・リハビリテーション計画の立案から実施
・評価
・記録
・他職種との連携(カンファレンスなど)
②1日の業務内容は以下のとおりです。
【朝】
・朝礼
・ミーティング
【午前】
リハビリの実施と評価
【お昼】
休憩・昼食
【午後】
・リハビリの実施と評価
・他職種とのカンファレンス
・家族への説明指導
・記録
・終礼

上記の業務以外に、院内の委員会活動や催事の役員活動などが加わります。
作業療法士や言語聴覚士の場合、食事動作や嚥下機能を評価するためにお昼時間がずれる場合があります。

2.リハビリ専門職が病院で働くメリット

・幅広い症例に対応できる
病院では、急性期から回復期まで幅広い年齢層やさまざまな疾患に対応するため、豊富な臨床経験を積み、幅広い知識や技術を学ぶことができます。
養成校の先生や先輩方から「最初の就職は病院にしなさい」とアドバイスを受けたことがある方も多いのではないでしょうか。実際、新卒の半数以上が病院勤務からキャリアスタートする傾向にあります。
また、在籍数が多いことから、勉強会や研究、先輩から教育が受けられれ、スキルアップしやすい環境が整っている点も魅力の一つと言えます。

・他職種の連携により最適なリハビリが提供できる
病院では、患者に対し幅広い知見を活かした最適なリハビリが提供ができます。
なぜなら、リハビリ専門職だけでなく、医師や看護師、介護士、栄養士、薬剤師など、様々な職種と連携する機会が多いからです。
他職種の知見を得ることで、患者への理解が深まり、入院期間が短い患者に対しても最適なリハビリ計画を提供できるようになります。

・医療機器や設備が充実している
病院では、最先端の医療技術を活用したリハビリが提供できます。
多くの病院には、検査や治療を目的とする医療機器設備が充実しています。また、特に総合病院やリハビリテーション病院では高度な医療機器が揃っており、効果的な治療が可能です。

・安定した収入・福利厚生
病院は他の職場より収入が安定しており、福利厚生も整っている特徴があります。特に大きな総合病院では健康保険や退職金、育児休暇などが整備されていることが多く、労働環境も比較的整備されています。
また、土日や祝祭日、年末年始、お盆でもリハビリを実施する病院が多いですが、同じリハビリ専門職が多く在籍している病院では、周囲と休みが合わせやすいメリットがあります。

3.リハビリ専門職が病院で働くデメリット

・ 業務時間が不規則になりがち
リハビリ計画や退院サマリー、カンファレンス記録といった書類業務に加え、勉強会や研修などにより業務時間が不規則になりがちです。
さらに、病院の委員会や催事の幹事などのリハビリ以外の業務も加わります。
特に子育て世代のリハビリ専門職の場合、同僚や家族などの支援が必要となるケースが多いです。

・専門分野を追及できない
病院は「治療」に特化した機関であり、安全かつ効果的にリハビリが実施できるためプロトコール(手順やガイドラインなど)が存在します。そのため、スムーズに業務が遂行できる反面、特定の専門分野の知識や技術を磨く機会が制限され、モチベーションの低下につながることがあります。
厚労省によると、リハビリ専門職の平均勤続年数は7. 3年と短いのが特徴です。しかし、業界の転職はあまりマイナスとなるケースが少なく、受け入れやすい傾向にあります。キャリアップしたいという方は検討してみるのも良いでしょう

・給与や待遇が不十分
病院勤務のリハビリ専門職の平均年収は431万円に対し、他の職種は以下のとおりです。
・薬剤師      583万円
・診療放射線技師  544万円
・臨床検査技師   509万円
・看護師      508万円
・介護福祉士    363万円
(出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」)

理学療法士の平均年収は医療スタッフの中では高いとは言い難いのが現実です。
夜勤の介護職に比べると給与が低いケースもあります。せっかく国家資格を取得したのに報われていないと考えて不満が募ることもあるでしょう。
年収を上げるためには、昇進して役職手当を得るか、休日や年末年始に積極的に出勤し、休日手当を稼ぐ方法があります。

4.病院で求められるスキル

(1)コミュニケーション能力
コミュニケーション能力の必要性は、リハビリ専門職や医療分野に限らず、広く求められるものです。病院では、医師や看護師、栄養士、ソーシャルワーカーなど他の専門職と協力し、患者の回復に向けたリハビリ計画を共有し、調整する力が必要とされます。
さらに、患者がリハビリに意欲的に取り組めるように説明する力や、信頼関係を築くコミュニケーション力が不可欠です。信頼関係が良好に築かれることで、患者の主訴や要望をスムーズに引き出すことが可能です。

(2)遂行力
病院によっては、リハビリを行う時間(単位数)や、患者の回復目標、訪問リハビリの件数などにノルマを課されることがあります。さらに、リハビリ以外の業務も加わり、心理的・精神的ストレスを感じて退職するケースも少なくはありません。
そのため、常に効率的かつ効果的な業務を遂行できるよう意識しておくことが大切です。特に新卒の方は、仕事の早い先輩にアドバイスをもらうとよいでしょう。

(3)記録・報告スキル
患者のリハビリ進行状況や体調の変化を正確に記録し、他の職種が理解しやすいように、要点を簡潔にまとめて報告する能力が求められます。
また、他職種が情報を共有するカンファレンス等の場では、短い時間でリハビリ専門職として意見を求められることがあります。
新卒の方は、最初は難しいと感じることも多いでしょうが、普段から客観的かつ簡潔に記録や考えをまとめておくと良いでしょう。

 

まとめ

本記事では、病院への就職や転職を考える際に押さえておきたいポイントをご紹介しました。
病院はリハビリ専門職の半数以上がキャリアスタートとして就職しています。
幅広い症例への対応や多職種との連携、最新機器の活用といったメリットがある一方で、業務時間の不規則さや専門分野の追求が難しいといった課題もあります。
特に新卒者で「理学療法士としてキャリアアップを目指したい」と考えている方には、最初に病院勤務を経験することをおすすめします。病院によっては同じ条件でも年収に50万円もの差が出ることもあるため、条件の比較も大切です。
病院への転職を検討されている方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。